野村不動産マスターファンド投資法人

証券コード:3462

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気候変動への対応

気候変動に関する方針

気候変動に関する認識

地球温暖化とその影響による気候変動は、1987年に「環境と開発に関する世界委員会(ブルントラント委員会)」が国連に提出した報告書「我ら共有の未来」の中で、「持続可能な開発」の概念が提唱されたことにより、環境問題に係る1つの重要な要素として世界的に広くに認知されました。1990年代に入ると、地球温暖化対策に関する国際条約締結の必要性が高まり、1992年にリオデジャネイロで開催された「環境と開発に関する国連会議(地球サミット)」において、大気中の温室効果ガスの濃度を安定させることを目的とした「国連気候変動枠組条約」が採択されました。
この「国連気候変動枠組条約」に基づき、1995年以降、国連気候変動枠組条約締約国会議(COP)が毎年開催され、1997年のCOP3では、先進国各国の温室効果ガス削減目標を定めた「京都議定書」が採択されました。これは、各国が具体的な削減行動を義務づけられたという意味において、国際的な温暖化対策としては極めて大きな一歩でした。
その後、2015年にはパリで開催されたCOP21において、全ての国連加盟国が温室効果ガスの削減目標を定めることについて合意が行われ、世界の平均気温の上昇を産業革命以前と比較して2℃より十分に低く保ちつつ、1.5℃に抑える努力を追求するという「パリ協定」が採択されました。
これまでに観測された代表的な気候変動の影響としては、平均気温の上昇があります。気象庁のデータによれば、世界の年平均気温は長期的には100年あたり0.75℃上昇しており、我が国においても100年あたり1.26℃の割合で上昇しており、全世界で地球温暖化の影響とみられる気候変化の顕在化と大規模な自然災害の発生による生態系への影響が懸念されています。また、気候変動の影響と考えられる大型台風や集中豪雨の被害が相次いでおり、気象庁によると、全国の1時間降水量50mm以上(バケツをひっくり返したような激しい雨)の年間発生回数は、1976~1985 年の10年間が約226回であったのに対し、2011~2020年の10年間は約334回と、およそ1.5倍に増加しています。
こうした気候変動影響の顕在化と「パリ協定」に代表される地球温暖化・気候変動に対する世界的な枠組みの強化により、気候変動は、国・政府だけではなく民間セクターが果たすべき社会的な責任として、近年ますます注目が高まっていると認識しています。

本投資法人における気候変動の位置づけと基本方針

本投資法人は、持続可能な社会の実現が本投資法人の持続可能な成長にとって不可欠であるとの認識のもと、本投資法人がその事業を通じて社会的課題の解決に貢献することは、本投資法人の基本方針である「中長期の安定した収益の確保」と「運用資産の着実な成長」に沿ったものであり、ひいては投資主価値の向上に資するものと考えています。この具体的な取り組みにあたり、本投資法人の事業やパフォーマンスへのインパクトと、ステークホルダーからの期待・関心などを踏まえながら議論を重ね、本投資法人にとって特に重要性の高いESG課題(マテリアリティ)を設定しています。
気候変動への対応は、「(1).気候変動に関する認識」を踏まえ、本投資法人が持続的な事業活動を行ううえで直面している喫緊の経営課題であり、本マテリアリティの一つと位置付けています。
なお、本投資法人のマテリアリティ及びマテリアリティ特定のプロセス並びに特定したマテリアリティとSDGsとの関連の詳細については、「マテリアリティ」ページをご参照ください。

気候変動は、中長期なリスクを有しており、これに適切に対処できない場合には、運用資産の着実な成長を望めなくなり、中長期的な投資主価値の向上を図ることが困難になるおそれがあります。
一方で、気候変動は新たなビジネス機会をもたらすものと考えています。この問題に適切に対処できれば、運用資産の価値向上につながり、ひいては投資主価値の向上に資するものと考えています。
こうした認識のもと、本投資法人は、気候変動に伴う物理・移行リスクを十分に管理するとともに、温室効果ガスの排出削減等の取組みを通じた低炭素社会の移行への貢献及び本投資法人の収益機会の拡大を目指した取り組みを推進してきます。

TCFD提言への賛同表明

気候変動に関する方針や取り組み内容に関する情報開示の拡充を通じて、投資主をはじめとするステークホルダーの皆様との対話を促進し、協働しながら継続的な改善を図ることを目的として、本投資法人が資産の運用を委託する本資産運用会社は、2020年7月にTCFD提言への賛同を表明し、国内賛同企業による組織である「TCFDコンソーシアム」への加入を決定いたしました。
TCFDは、金融安定理事会(FSB)により、気候関連の情報開示及び金融機関の対応をどのように行うかを検討する目的で設立された「気候関連財務情報開示タスクフォース」です。気候変動は世界経済にとって深刻なリスクとし、企業等に対して「ガバナンス」「戦略」「指標と目標」「リスク管理」について把握・開示を推奨する提言を公表しています。
また、TCFDコンソーシアムは、TCFD賛同企業や金融機関等が一体となって取組みを推進し、企業の効果的な情報開示や、開示された情報を金融機関等の適切な投資判断に繋げるための取組みについて議論する目的で設立された組織です。

(TCFDが推奨する開示項目)

開示項目 開示内容
ガバナンス 気候関連リスク及び機会に関する当該組織のガバナンス
戦略 組織の事業・戦略・財務計画に対して気候関連リスク及び機会が与える実際の影響及び潜在的な影響
リスク管理 気候関連リスクを組織が識別・評価・管理するプロセス
指標と目標 気候関連リスク及び機会を評価・管理するための指標と目標

TCFDが推奨する開示項目に対する本投資法人の取り組み

ガバナンス

本投資法人が資産の運用を委託する本資産運用会社におけるサステナビリティ(気候変動への対応を含みます。以下同じです。)に関する推進体制は、「方針・マネジメント体制」ページをご参照ください。

戦略

本投資法人では、気候変動リスクが本投資法人に与えるリスクと機会を把握し、それが事業に与える影響を検討するためにシナリオ分析を実施しました。一連の検討過程においては、我が国の2050年カーボンニュートラル宣言に基づいて制定された「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」を考慮しております。

シナリオ分析の前提

本投資法人は、各国際機関等が公表している将来的な気候予測を主な情報源としてシナリオ分析を行いました。本投資法人が参照した主な情報源は、下表のとおりです。また、気候変動リスクは、「移行リスク」と「物理リスク」とに大別することができ、移行リスクと物理リスクの関係は、相互に依存するとともにトレードオフの関係にあると考えられています。

気候変動リスク 主に参照した情報源
移行リスク 脱炭素社会を実現するための新しい規制、税制、技術等によって生じるリスク IEA(国際エネルギー機関)World Energy Outlook 2020
物理リスク 気象の変化等、気候変動そのものによって生じるリスク IPCC(国連気候変動に関する政府間パネル)第5次評価報告書(AR5)

本投資法人は、「パリ協定」の趣旨を踏まえ、4℃シナリオ、2℃シナリオ、1.5℃シナリオの3パターンをシナリオ分析の前提シナリオに設定しました。各シナリオの概要は下図のとおりです。

【4℃シナリオ】
4℃シナリオは、脱炭素社会を実現するための厳しい規制及び税制等が実施されないことで、温室効果ガスの排出量が増加を続けることを前提としており、物理リスクは高く、移行リスクは低いシナリオです。

【2℃シナリオ・1.5℃シナリオ】
1.5℃シナリオは、脱炭素社会を実現するための厳しい規制及び税制等が実施されることで、温室効果ガスの排出量が削減傾向となることを前提としており、物理リスクは低く、移行リスクは高いシナリオです。
2℃シナリオは、4℃シナリオと1.5℃シナリオの間に位置づけられますが、1.5℃シナリオと同様に厳しい規制及び税制等が実施されることで、温室効果ガスの排出量が一定程度抑制されることを前提としており、1.5℃シナリオと同程度ではないものの物理リスクは低く、移行リスクは高いシナリオです。

1.気候変動リスクと機会の識別

本投資法人は、シナリオ分析に際して、気候変動リスクと機会の要因とそこから想定される財務的影響の概要を、下表のとおり識別しました。

分類 リスクと機会の要因 財務的影響 区分
移行リスク 政策 建築物の炭素排出量総量規制、省エネ基準の強化、ZEB
(ネット・ゼロ・エネルギービル)技術の進化による創
エネ・省エネビルの低コスト化
① レトロフィット(エネルギー効率を高めるための既存
    建物の改修)費用の発生
リスク
② ZEB化による動光熱費の削減 機会
炭素税の導入、排出量取引制度の導入 ③ 炭素税の負担増加 リスク
④ 再エネクレジット購入費用の発生
建築物のエネルギー効率評価に関する表示制度の拡充・義務化 ⑤ 認証費用等の発生
市場 ESG投資家の増加に伴う投資スタンスの変化 ⑥ グリーンボンド、グリーンローン等による資金調達コ
    ストの低下
機会
責任銀行原則による銀行の融資判断の変化
カーボンニュートラルを目指す企業の増加 ⑦ 創エネ・省エネ建築物の入居率の増加
評判 企業・入居者による創エネ・省エネ性能重視の物件選び
企業・入居者による防災性を重視の物件選び ⑧ 災害リスクの高い建築物の入居率の減少 リスク
物理リスク 急性 集中豪雨、台風・洪水、土砂災害、高潮の増加 ⑨ 建築物の浸水による営業機会の損失
⑩ 建築物の浸水による修繕コスト及び損害保険料の増加
慢性 海面上昇
シナリオ分析に基づく財務的影響額の検証

本投資法人は、前述した3パターンのシナリオごとに、識別したリスクと機会の財務的影響額の大きさを検証しました。各シナリオについて、2030年(中期的展望)及び2050年(長期的展望)における影響を検証しています。結果の概要は下表のとおりです。
なお、本検証は、現時点において収集可能なIEAやIPCC等の公表するシナリオやその他第三者の専門機関等が公表している客観的な予測データ等を参考にしながら、本投資法人の保有資産の状況等を踏まえて定性・定量的に検証したものでありますが、既知のリスクの不確実性又は未知のリスクその他の要因を内在しており、必ずしもその情報の正確性及び安全性を保証するものではありません。

※薄い赤・青は「影響が小さい」、濃い赤・青は「影響が大きい」ことを示します

分類 財務的影響 区分 財務的影響額の程度
4℃ 2℃ 1.5℃
2030
(中期)
2050
(長期)
2030
(中期)
2050
(長期)
2030
(中期)
2050
(長期)
移行リスク 政策 レトロフィット費用の発生 リスク
ZEBによる動光熱費の削減 機会
炭素税の負担増加 リスク
再エネクレジット購入費用の発生 リスク
認証費用等の発生 リスク
市場 グリーンボンド、グリーンローン等による資金調達コストの低下 機会
創エネ・省エネ建築物の入居率の増加 機会
評判 災害リスクの高い建築物の入居率の減少 リスク
物理リスク 急性※ 建築物の浸水による営業機会の損失 リスク
建築物の浸水による修繕コスト及び損害保険料の増加 リスク

※物理リスクのうち慢性のリスクに関しては、その影響が2050年以降と考えられることから、財務的影響額の検討対象外としています。

リスク管理

本投資法人が資産の運用を委託する本資産運用会社におけるサステナビリティに関するリスク管理体制は下記のとおりです。

投資判断時

運用資産の新規投資にあたっては、デューデリジェンスプロセスのなかで、気候変動リスクに対する各種調査を踏まえたうえで、投資委員会にて投資判断を行っています。具体的には、対象物件の洪水・冠水可能性につき、各種ハザードマップによる浸水レベルや浸水履歴、治水工事等の実施履歴を調査・確認しています。また、環境認証の取得有無を含む環境・省エネ設備の有無、BCP対応状況等を確認しています。

運用時

サステナビリティ推進会議において、気候変動リスクを含むサステナビリティに関連したリスク全般の管理、モニタリングを実施しています。具体的には、温室効果ガス(GHG)排出の削減目標(詳細は下記「(4)指標と目標」参照)に対する省エネ施策等の実施状況と、それを踏まえたGHG削減状況を個別物件ごとにモニタリング、可視化しながら、GHG排出量の増減理由を分析し、必要な対策を適宜、検討しています。また、個別の物件ごとにサステナビリティ・リスク評価シートを作成し、気候変動リスク等が顕在化する可能性を評価しています。この評価は、毎年保有物件の一定割合に対して実施することとし、全物件に対して約5年間のローテーションに基づいて行っています。

指標と目標

本投資法人は、気候変動に代表される環境課題の解決が本投資法人の持続的な事業とその実現に向けた事業戦略において重要な経営課題であると認識しています。 こうした認識のもと、本投資法人は、低環境負荷物件への投資と、保有物件における環境・省エネルギー対策等の運用を通じたエネルギー利用の効率化とGHG排出量の低減に取組み、低環境負荷ポートフォリオの構築を目指しています。

保有物件のグリーン化
目標(KPI)
保有物件のグリーン認証(3★相当以上)取得割合※を2030年度までに70%まで向上させることを目指します。
グリーン認証(3★相当以上)とは、GBJ Green Building認証3★以上又はBELS認証3★以上又はCASBEE不動産B+以上をいいます。
底地物件を除く保有物件をベースとし、延床面積をベースとします。
目標に対する進捗状況はこちらをご覧ください。
温室効果ガス(GHG)排出量
目標(KPI)
ポートフォリオの温室効果ガス(GHG)における床面積あたり排出量(原単位)を2030年度までに40%削減(2016年度基準)
(中期目標:2025年度までに34%削減)

目標に対する進捗状況はこちらをご覧ください。

太陽光発電設備

物流施設の屋上に太陽光発電パネルを設置し、再生可能エネルギーを活用しています。

(2019年実績)

設置物件数 年間発電量
10物件 10,766,862kWh
  • Landport浦安
  • Landport春日部
  • Landport厚木
LED化による省エネ推進
施設の照明LED化を行い、エネルギー消費量の削減に取り組んでいます。
  • 新宿野村ビル
  • Landport柏沼南Ⅰ
空調設備更新による省エネ促進
施設の空調設備更新を行い、エネルギー消費量の削減に取り組んでいます。
  • 空調設備
   
省エネ診断の取得促進
保有物件の省エネルギー診断を行うことで、運用におけるエネルギー量削減の検討を行い、運用に役立てています。
  • 省エネ診断

(2020年2月時点)

延床面積ベース 物件数ベース
64.0% 21.2%

テナントとの協働

本投資法人は、地球環境課題に配慮した不動産運用を行うことが中長期的な安定運用につながるとの認識のもと、保有資産に入居するテナントと協働し、グリーンリース契約等の取組みを通じて、エネルギー利用、水資源、廃棄物の削減と適切な処理といった地球環境課題に事業のサプライチェーン全体で取り組みます。

グリーンリース条項
本投資法人ではテナントとの間で締結する標準的な賃貸契約書に下記条項等を盛り込み、テナントと環境負荷の低減のために協力する取組みを進めています。
・環境認証取得のための環境パフォーマンス向上に対する協働(節電、節水、廃棄物削減)
・エネルギー消費量等のデータ共有、および目標値の共有

<グリーンリース具体例>
本投資法人保有物件にて実施する省エネ改修投資(照明LED化工事等)に対する費用をテナントと分担するグリーンリースを導入
・野村不動産四ツ橋ビル
・SORA新大阪21
・相模原田名ロジスティクスセンター

PMOにおける電気消費量の見える化
テナント関与プログラムの実施
本投資法人は、テナントの皆様と協働して環境への取り組みを推進しています。一部のオフィスビル(PMOシリーズ等)では、貸室内に専用のタブレットを設置し、電気消費量の見える化に取り組むことで、テナント企業のエコ意識向上を促しています。その他にも、エネルギー/水/廃棄物等の消費量・排出量に関する情報のテナントへの提供、環境・省エネ協議会の開催による定期的な協議、テナント・サステナビリティガイドの配布といった取組みもしています。
  • 専用のタブレット
  • 電気消費量

電力会社の切り替え
本投資法人は、新電力会社(PPS)を含む幅広い電力供給会社の中から、コストや安定供給面といった観点に加え、電源構成等に起因するCO2排出係数の観点を含めて電力会社の選定と見直しを行っています。

バイオマス発電による電力利用
保有物件について、消費電力の一部で環境負荷の低いバイオマス発電による電力を利用しています。
(PMO芝公園、PMO銀座八丁目、野村不動産四ツ橋ビルにて2019年9月1日から2020年3月31日に消費した電力のうち、約198Mwhに相当)

  • グリーン電力証書

気候変動への適応
本投資法人は、施設の緑化を積極的に行うことで温度上昇の抑制ならびに省エネルギー化を図っています。また、気候変動による天災被害に備え様々な対策を行っています。

施設の緑化
保有物件の屋上緑化や、リニューアルに伴う植栽の施工など、施設の緑化を積極的に行っています。
  • 野村不動産四ツ橋ビル
  • 野村不動産吉祥寺ビル
浸水対策
台風やゲリラ豪雨時の浸水対策として、防水版を設置し、施設内への海水・雨水の侵入防止策を行っています。
  • 野村不動産天王洲ビル
  • 相模原田名ロジスティクスセンター
雪害対策
雪害対策として、北海道札幌市に所在する保有物件の敷地には保有物件のロードヒーティングを設置しています。また、雪庇落下による事故防止のため、屋上に雪庇防止策を施しています。
  • 雪害対策
  • 雪害対策
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